10月13日、非正規雇用の賞与や退職金についての最高裁判決が出た。
非正規従業員に賞与や退職金が支払われなかったことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、不支給を「不合理とまでは評価できない」との判断を示した。いずれも二審の高裁判決は一定額を支払うべきだとしていた。原告側の逆転敗訴が確定した。2020/10/13 日本経済新聞
この判決について、各紙が電子版で報道している。
アルバイトに賞与なし、不合理と認めず 最高裁判決(2020/10/13 日経新聞)

非正規に賞与・退職金なし「不合理」といえず 最高裁(2020/10/13 日経新聞)

アルバイト秘書に賞与なし「不合理とまで言えず」最高裁(2020/10/13 朝日新聞)
アルバイト賞与認めず 最高裁「格差、不合理とまで言えない」(2020/10/13 産経新聞)

「非正規」に厳しい判断 企業側にもクギ 待遇格差訴訟で最高裁(2020/10/13 産経新聞)

ボーナス不支給訴訟 元アルバイト職員の女性、逆転敗訴 最高裁判決(2020/10/13 毎日新聞)

賞与・退職金の非正規格差「不合理とまではいえない」…最高裁「正規労働者、難易度高く異動ある」(2020/10/14 読売新聞)

この判決について、正社員で働く人と非正規で働く人では見方が異なるかもしれない。経営者側からすると安心したといえる判決だろう。
しかし、非正規労働者が増える傾向にある現状において、いつまでも正社員と非正規の大きな待遇格差を放置しておくことはできないと思う。
学生のアルバイト、あるいは、演劇やバンド活動のため、あるいは、長期の海外旅行や留学に出るためにあえて非正規を選んでいる人は確かにいるだろう。
しかし、正社員として働きたいが、正社員として採用されないために、仕方なく契約社員や派遣社員、パートタイムとして働いている人もいる。
また、家事・育児・介護のために働くことができる時間が制約されていて、なおかつ、家族を養うために稼がないといけない人もいる。そういう人もまた、パートタイムなどの非正規を選ばざるを得ない場合がほとんどだ。
平成30年7月6日公布の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」では、いわゆる「同一労働同一賃金」も盛り込まれている。
厚労省のホームページには「同一労働同一賃金特集ページ」が置かれている。
「同一労働同一賃金」は、現状で必ずしも十分に徹底されているとは言い難い。しかし、この4月からの法施行で、極端な差別的待遇を抑止する効果はあるだろう。
正社員と非正規の労働時間や内容の違いによる賃金の差異を小さくするためには、政府が積極的な姿勢を示さないと、市場に任せておくだけでは難しいだろう。
野党4党のこうした動きはあるが、非正規労働者のための立法措置が、超党派で実現するのは当分は難しいように、個人的には感じている。
