非正規公務員が増えるのは問題だ

労働問題

非正規労働者の問題は、数限りなくあると私は思っている。これは公務員の世界でも同じだ。

地方自治体の職員でも非正規労働者が増えている。これは、「地方自治体 非正規」とでもネット検索すれば、いろいろと情報が出てくる。少なく見ても、4人に1人は、非正規職員と考えられる。

役所の窓口や図書館の司書、社会福祉士に保育士や学校の教員などさまざまなところで、非正規職員が働いている。

あなたの市町村の広報誌にも、臨時職員の募集が載っているのを見た方も多いだろう。

地方自治体も予算がかぎられており、少しでも経費を下げたいことから、このような現実が生じた面もある。

かつて昭和の時代、公務員は「給料が安い」というイメージがあった。それでも、倒産することがないし安定しているというイメージもあった。給料が安くても安定を取るか、民間でがっつり稼ぐかという選択肢がかつてはあったのだ。

しかし、バブル景気崩壊後、民間の労働者の年収が下がり、相対的に公務員の年収が上がった。

こうした背景から、平成時代では次第に公務員に対して世間の目が厳しくなっていった。いわゆる公務員バッシングも各方面から起こっていった。同時に、長い不況のもとで税収も減り、国や地方自治体の財政も厳しくなっていった。

 

バブルの頃は、無駄の象徴のような箱ものが、疑問もなくたくさん作られていた。あの時代がいまでは嘘のようだ。これらは無能な公務員の仕業とみなされる傾向があった。

その後、国でも地方でも、無駄な財政支出を抑えて、行財政改革を進めることが正しいことだという流れが進んだ。非正規公務員はこうした時代背景から増えてきた。

非正規公務員の増加には、いろいろな問題がある。

1 働く人の待遇の問題

2 自治体のあり方の問題

3 社会全体の問題

1については、 まずもって不安定で低賃金で働く人の生活の問題が大きいと思う。女性の非正規公務員が多いという問題も、見逃すことができない。

2 そもそも自治体の行政サービスが不安的な働き方を強いられる職員によって担われることに問題がある。公務員は、デリケートな個人情報を扱うことも多い。そのような人が、来年の今頃は雇用契約が更新されず、他の職業につくようなことが当たり前であってよいのだろうか。

3 また、日本の公務員総数の総人口のうちの割合が世界的に見ても高いわけではない。しかし、正規の公務員は減少傾向だ。その穴埋めのために非正規の公務員が増加している。

市場に委ねることのできない仕事や、市場に委ねるべきではない仕事が、社会においては一定数存在している。そのような仕事を担っている役所の職員を減らしすぎると、弊害も生じる。たとえば、公衆衛生は市場競争がなじまない。しかし、現在の新型コロナ禍のような公衆衛生の重大問題が起こった場合は、保健所や公的な医療機関が活躍してもらわなければならないのだ。

 

小さな政府を取るか大きな政府を取るかということについては、人によって意見が異なる。昨今の選挙結果を見ていると、社会全体では小さな政府のもとで、緊縮財政を進めるべきだという世論の傾向があるようだ。

こうした世論の動向にもかかわらず、私は、小さな政府への志向には反対したい。財政赤字ばかりを膨らます政府には問題が残ることは否定しない。しかし、今のように、一般庶民の所得が増えないままで放置している状態では、税収の増加も期待できない。

所得が増えない中で、消費税の税率アップばかりに頼っていては、購買力は下がる一方だ。大企業の業績アップでトリクルダウンに期待するなどと、悠長なことはもはや言っていられない。

低賃金で来年がどうなるかわからない不安の中で働く非正規労働者を減らすべきだ。賃金が上がれば、所得税も増えるし消費も増え、消費税の税収も増える。ただただ、人件費を低く抑えておけばそれでよいというだけの社会には未来はない。

公務員については、一部の公務員が偉そうな態度をとり、民間人に不親切であったり、適切な情報を与えてくれないことがあることは、私もさんざん経験させられた。そのため、いまだに恨みを消すことができない公務員も少なからずいることは確かだ。

しかし、国であれ地方であれ、公務員をとにかく減らして、人件費もとにかく減らすことが無条件によいことだとは到底思えない。まして、非正規公務員を安易に増やすことにも反対だ。

社会全体の中で、公的部門の役割をどの程度重視するかは、簡単に答えが出ることではない。だが、公的部門を縮小することを無条件の善とすることは、危険であると私は思う。

かつてバブル期に役所がおかしな事業を展開した事例は多々ある。民間企業と同じことするのは、役人には苦手なようである。しかし、民間が不得手とすることを役所がしなければならないという、社会的ニーズは間違いなくある。

そうであるならば、役所の正規公務員は、現場のきつい仕事を非正規公務員に任せて、自分たちは「管理職」としてノホホンとしているのではなく、身を賭して現場で働きつつ、現場に一人でも多くの正規職員を雇えるように議会や首長に働きかけてほしいと思う。

公務員に対しては言い過ぎかもしれないが、安易に非正規労働者に頼ることは、社会を悪くしている側面があることを、公務員であれ民間であれ、働く人も、雇う側の人にもわかってほしいと思っている。

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