非正規の日記 非正規労働者は奴隷なのか?

ある非正規労働者の日記 仕事と生活

 

 

非正規労働者をしていて身にしみて感じることがある。非正規労働者は、会社の中で最下層に置かれた労働者だということだ。

 

正社員と非正規社員の間には、とても大きな溝があり、古代社会の市民と奴隷の関係に似ている。すなわち、正社員は市民、非正規は奴隷だ。

市民は人間として尊重されるが、奴隷は単なる労働力に過ぎない。

 

企業によって待遇の差はあるだろうが、少なくとも私の職場では露骨にそういう扱い方がなされている。

 

私の場合、休日は正社員より少ないが、言うまでもなく給料は正社員よりもはるかに少ない。また、正社員同士の会話には、対等には入れない。

 

正社員からすると、私たち非正規とは個人対個人の対等の関係を作ることが禁止されているかのようだ。

 

正社員は、非正規に甘い顔をして舐められてはいけないと、上から言われているか、あるいは自分たちで申し合わせているかのように感じている。

 

仕事については、理由の説明もなくあれをしろこれをしろと言われるだけだ。もちろん、そういう仕事をするために雇われた、その程度の労働者だから仕方がないと理解してはいる。

 

しかし、それならば、正社員に求めるようなことを求めるなと言いたい。たとえば、忘年会や新年会、歓送迎会などの宴会は、実質的に強制参加だ。こちらの都合も聞かずに一方的に日時が決められていて、これに出ろといわれる。安い給料の私たちからも会費をしっかり徴収する。

 

普段は単なる労働力であって「人間」とはみなしていないのに、場面によっては正社員と同等の「人間」並みの要求をすることに、私は納得できない。

 

 

私たち非正規労働者は、現場でにおいての人のいやがる仕事を押しつけられている。その現場から、現場の人間しか気づかないことを報告すると、ほとんど無視される。

 

「このまま放っているとたいへんなことになりますよ」と言ったところで、知ったことかという態度をとられて終わりだ。

 

しかし、やがてその報告がだいぶん時間が経ってから重大な問題であることが判明する。すると、どうして報告しなかったなどと責められる。

「いや、前から指摘してきましたが」と内心思うのだが、「すいません」としか言うことを許されない。

 

その重大問題を見いだしたことは、正社員の方々が自分が発見し、現場の非正規のミスや怠慢によって放置されてきたこととされる。手柄の横取りだ。

 

その程度のことは、正規ー非正規だけの問題ではなく、一般的な上司ー部下という関係でもよくある話だとは思う。非正規にとって悔しいのは、何をしても評価されないで、こちらがバカだからと言わんばかりの扱いをされてしまうことだ。

 

正社員が無能であっても、すべてを非正規のせいにすれば許されてしまう。ここには、倫理や道徳などというものはないに等しい。奴隷は「人」ではないので、そんなことを考える必要もないのであろう。

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