当たり前の話すぎて恐縮だが、働く場はそれぞれの労働者を人として尊重してくれるところがよいに決まっている。虫けら同然に扱われるような職場には、だれだって1日たりともいたくはないと思うだろう。
しかし、虫けら同然とは言わなくても、労働力すなわち「労働力を提供するモノ」としか見ないような職場が存在する。
かつての19世紀の労働現場では、それがまかり通っていた。いや、20世紀に入ってもそういう職場は存在していた。いやいや、今でも存在している。
正社員で働いている方々にとっては、必ずしも実感がないことかもしれない。しかし、非正規労働者にとっては、モノのように扱われることを日々感じている人も多いのではないかと思っている。私も自分がモノだと割り切って働いている。そう思わないことには、やってられない。
私は労働力を提供する労働者だけれども、労働力を提供するモノではなく、人間だ。
人間である以上、向上心もあるし、夢も希望もある。つまり、心があるということだ。
今の時代、ペットである動物たちにも心があると考える人の方が多いだろう。
彼らは所詮、畜生だから、殴ろうが蹴飛ばそうがそれでかまわないと考える人は少数派だ。動物を虐待すれば、それは犯罪行為になることもだれもが知っていることだろう。
同様に、職場でも、セクハラ、パワハラなど××ハラスメントは禁止事項だと、まともな職場では周知されている。
私の職場でも、明確なハラスメントはないかもしれない。しかし、非正規労働者として働いていると、自分たちに対する冷たさは、いやというほど感じざるをえない。
正社員の皆様方は、自分たちは違うと思っているかもしれない。しかし、非正規に対して冷たい職場は、すべての労働者を「労働力」としてしか見ていない可能性が高いと私は感じている。非正規に冷たい職場に勤めている方々には、自分もまた単なる労働力としか見られていない可能性も、あらためて考えてみる必要があるかもしれない。
正社員であろうが非正規であろうが、同じ人間だ。同じように心をもつ。このことを忘れてはいけない、と私は思っている。

